2012年5月10日木曜日

ハードディスク


ハードディスク

ハードディスクは最も代表的な 補助記憶装置 です。

左の写真はハードディスクの カバー を取り外したもの です。
上部の円盤が磁気ディスク (プラッタ) で、 3.5インチ型と呼ばれるものの直径は約 95mm です。
鏡のように仕上げられた金属製円盤の表面に磁性体が塗布されています。
ちょっと見にくいのですが、この装置にはディスクが 2 枚取りつけられています。
(写真をクリックすると、大きい写真が表示されます。)

左下から右上に伸びている鋏のような形のものがアームで、 この先端に磁気ヘッドがあります。
磁気ヘッドはデータを読み書きする、最も重要な部品のひとつです。

磁気ディスクが 2 枚あるので、それぞれの両面にデータが記録できるように、 4 本のアームが積み重ねられています。
アームは左端の軸を中心に回転し、磁気ヘッドはディスク面を円弧状に、 素早く移動することができます。

アーム先端部のクローズアップです。


合金とは何かの説明

鏡のような磁気ディスクに、アームが映っています。
アームの先端に、さらに小さい金具 (ジンバル) がつけられていて、 その金具の先端にスライダという部品があります。 (左の写真ではジンバルに隠れていて見えません。)

アーム先端部を横から見たものです。

アームに取り付けられたジンバル、スライダの様子がよく分かります。
(写真をクリックすると、スライダ側面を更に拡大した写真が表示されます。)

アームをひっくり返して、更に拡大しました。
いちばん外側のグレーの金具がジンバル、 内側の黒い部品は配線用の薄い基板で、 中心の濃いグレーの部品がスライダです。
この写真のスライダは、長さ約 1.2mm、幅約 1.0mm、厚さ約 0.3mm です。 なんと、こんなに小さいスライダの中に、磁気ヘッドが組み込まれています。

このため、磁気ヘッドや磁気ディスクが摩耗 することはありません。

ハードディスクは、このようなデリケートな機構を持っているので、振動や衝撃は大敵です。 特にディスク回転中は細心の注意が必要です。


NH3ガスは何ですか

ゴミやホコリも禁物です。直径 5μm 程度の煙の粒子でさえ、巨大な障害物であることが分かります。

データは、プラッタの表面を同心円状にトラック、回転方向にセクタと呼ばれる微小領域に分割して記録されます。 プラッタが複数枚あると、トラックは全体として仮想的な円筒状になるので、シリンダともいいます。

上の写真のハードディスクは 54,982 トラック、 外周部は 950 セクタ、内周部は 486 セクタでデータが記録されています。 またトラック密度は56,170 tpi (tracks per inch) ですから、 トラック一本の幅は 25.4 ÷ 56,170 ≒ 0.45μm になります。
セクタの長さは約 0.3 mm にすぎません。
0.45μm × 0.3 mm のディスクの表面に、512 バイトのデータが記録されています。
ハードディスク全体では 80GB、漢字にして約400億字分の情報を記録することができます。




内部が観察できるハードディスク (2.5 インチ) の動画を用意しました。 アームが動く様子などがよく分かります。
ご興味がありましたら、左の写真をクリックしてご覧ください。

320×240ピクセルの MPG 形式で 15 秒、ファイルサイズは 約 1.4M バイトです。



関連項目:  講義資料/ハードディスク技術の進歩


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チタンは他の要素と組み合わせることができます

*1  ハードディスクの構造はデリケートなので、ゴミやホコリは禁物です。
プラッターや磁気ヘッドはケースの中に密封されていますが、不用意に開くとトラブルの原因になります。 カバーを開くには右の写真のようなシールを剥がさなくてはなりませんが、 シールにはこれを剥がすと保証できない、ということが明記されています。
*2  「0.1μm 浮上している」 といっても、"μm" という長さの単位は、 私たちには直感的に理解することはできません。

これは、寸法をすべて 1000倍にしてみると、少し分かりやすくなります。
スライダの浮上量 0.1μm は 1000倍にすると、0.1mm です。
長さ 1.2mm、幅 1.0mm、厚さ 0.3mm のスライダは、長さ1.2m、幅 1.0m、高さ 30cm になります。 小さい本棚くらいの大きさのものと思えばいいでしょう。 磁気ディスクの直径は約 95mm ですから、1000倍では 95m になります。

高速で回転している直径 95m の円盤の上で、アームに取り付けられた本棚が 0.1mm 浮かんでいる、 という状況を想像してみてください。

しかし、このような説明は数字のマジックで、本当は正しくありません。
0.1μm 浮上しているスライダを作ることができても、本棚を 0.1mm 浮上させるのは、まず不可能です。 たとえば豆腐は、縦・横約10cm、高さ5cm 程度のものですが、 これを 1000倍にすると、縦・横100m、高さ50m になります。 巨大なビルほどの豆腐を作ることができるかどうか、という問題に似ています。


なお、最近のハードディスクは、面記録密度の上昇に伴い、スライダの浮上寸法はますます小さくなって、 0.01μm 程度のものもあります。

*3  ハードディスクのプラッタは、代表的なもので 7,200 rpm (ほぼ 5,400 〜 15,000 rpm の範囲) という高速回転をしています。 このとき、直径約 95mm のプラッタの外周部での線速度は 120km/h (90〜260km/h) という、 高速道路を走る自動車なみ (以上) の速さに達しています。 磁気ヘッドが磁気ディスクに接触していたのでは、ひとたまりもありません。
(rpm は revolution per minute の略。1分間の回転数。)


update: 2005.01.06 



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